日常を切り取る
山崎ナオコーラの「『ジューシー』ってなんですか?」という本を読んだ。
本当におもしろい。
なんで自分は、日常を切り取ったような話が好きなのだろうとよく考える。
人は皆つまらない日常に飽き飽きしているのか、
本の中にファンタジーや幻想を求める。
もしくは人の悪や死や妬みが書かれた話を好んで読む。
それはとても良いことだと思うし、
そういう本は面白い、だから売れる。
山崎ナオコーラの書く小説は、
とてもありふれた日常を切り取った物語だと思う。
ありふれた会話。ありふれた恋愛。ありふれた会社。
その中にはたくさんの「人間の素」が散らばっている。
ありふれているものを改めて客観的に見つめ直す機会はそうあるものじゃない。
「ほんとそうだよなー」「こんな感じあるよなー」とか思って、
本の中に「これいいなあ」と思える科白や言葉を見つけることができる。
そこがいい。
先に続く仕事や、実りのある恋だけが、人間を成熟へと向かわせるわけではない。ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ。
『ジューシー』ってなんですか?/山崎ナオコーラ